ちっちの物語その32~学校の先生

ジアス

2011年10月22日 22:22

 ちっちは相変わらず元気に学校に通っていましたが、親としては万一のことを考えると、学校の先生には病院で受けた説明を話しておいたほうがよいと考えました。
 病状の進行の展開が読めず、何が起きても不思議はないと言われていましたので、いきなり学校で倒れる可能性もあり得たからです。

 そこで、校長先生と教頭先生、担任の先生とその隣のクラスの先生(6年生は2クラスでした)、そして保健室の先生には本当のことを伝えました。
 どの先生も以前からちっちの病気のことを本当に心配してくれていましたので、そのことを伝えるのは本当に辛いことでしたが、どの先生も今までと変わらずに接してくれることを約束してくれました。
 それは、ちっちが一番望んでいることだからです。クラスの他の子供たちにも今まで通りちっちに接してほしかったので、ちっちは今までと変わらぬ日常の学校生活を送ることができました。

 校長先生はご自身も病気で長い入院をされた経験がおありでしたので、ちっちが入院した最初からずっと励ましていただいていましたし、担任の先生も実はちっちの姉の担任を4年間持ってくれていた先生で、ちっちの復帰前の自宅療養中も学校帰りに毎日のようにわが家に寄って励ましてくれていました。そして、保健室の先生は、まだちっちが発病する前の4年生の頃から、クラスで悩んでいたちっちが保健室に寄った時にはいつも優しく迎えてくれていました。

 この後も、ちっちを、そして私たち家族を、最後までこの小学校の先生方は支えてくださいました。そのおかげで、ちっちはこの後、病状が少しずつ悪化していく中でも、2学期の終業式まで学校に通い続けることができたと思います。
 ちっちがこの学校のこの学年で過ごせたことは、本当に幸せなことだったんじゃないかと思います。卒業式のことを思い返しても、あと3ヶ月、この学年で卒業させてあげたかったと、本当に思います。

 また、養護学校の先生方にもお世話になりました。A病院では病室で、B病院では小児科病棟の院内学級で、入院中ちっちはどちらでも先生に会うのを楽しみにしていました。ちっちが退院してからの自宅療養中にもわが家に来てくださったりして、ちっちは「病気になったのは嫌だったけど先生方に出会えたのはよかった」と言っていました。
 10月の下旬に養護学校の文化祭があり、そこにちっちを連れて行ったのですが、そこでやはり病状の話をしました。

 養護学校の先生方もちっちに何ができるかと考えられたのでしょう。その数日後、突然、ハロウィンの扮装をしてわが家に来てくださったのです。ちっちは驚き、そして大喜びでした。

 ちっちにとって、素敵な先生方にめぐりあうことができたことは、短い生涯の中でも幸せなことだったのではないかと思います。

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